つくる力を社内に育てる。ものづくり企業へのデザイン伴走

クライアント:関西の印刷会社
業種:印刷/ものづくり
担当範囲:デザイン伴走/グラフィックデザイン/商品企画支援/デザインフィードバック/クリエイター育成支援
支援内容:サンプル商品の企画・デザイン/社内クリエイティブ担当者へのデザインフィードバック/月1回の訪問支援/制作フロー・デザインナレッジの共有 ほか
制作年:2025–2026

ご相談・背景

最初のきっかけは、クリエイターと印刷会社がともに商品づくりに取り組むイベントでの出会いでした。

その後、会社のこれからを整理するビジョンマップの制作をご依頼いただき、経営者やスタッフのみなさんから、現在の事業だけでなく「これから会社をどのように成長させていきたいのか」を伺う機会がありました。

お話を聞く中で感じたのは、印刷や加工に関するさまざまな技術を持ちながら、それをこれからの商品づくりや提案、社内のクリエイティブにも、さらに生かしていきたいという思いでした。

制作物を一つつくって終わるのではなく、デザインの面から継続してお手伝いできることがあるのではないか。

そこから、外部のデザインパートナーとして伴走する関係が始まりました。

課題

印刷会社の中には、紙や加工、印刷方法についての専門的な知識や技術が数多く蓄積されています。

また、社内にはクリエイティブを担う若手スタッフもいるため、外部のデザイナーが制作をすべて引き受けるのではなく、社内でも少しずつデザインを考え、判断し、つくれる状態を育てていくことも一つのテーマとなりました。

考えたこと

継続的に関わるうえで大切にしているのは、私自身がすべてを制作することではありません。

企業の中にすでにある技術や知識、人の力を生かしながら、

「外部だからこそできること」
「社内でできるようになったほうがいいこと」

を分けて考えるようにしています。

必要な場面ではデザインを担当し、社内で制作するものについては考え方や判断のポイントを共有する。

完成したデザインだけを増やすのではなく、デザインを考えるための視点そのものが、少しずつ社内に蓄積されていく状態を目指しています。

技術を生かした、サンプル商品の制作

デザインパートナーとして行っていることの一つが、企業の持つ印刷・加工技術を活用したサンプル商品の企画・デザインです。

特殊な印刷や加工は、仕様を説明するだけでは、その魅力や可能性が十分に伝わらないことがあります。

そこで、単なる加工見本ではなく、実際に手に取った人が、

「この加工なら、こんな表現もできそう」
「自分たちの商品にも応用できそう」

と、その先を想像できるものになることを意識しています。

企業がこれまで培ってきた技術に、外部からデザインの視点を加えながら、複数のサンプル商品を制作しています。

チャットを使った、日々のデザインフィードバック

社内でクリエイティブを担当する若手スタッフへのデザイン支援も行っています。

制作途中のデザインをチャットで共有してもらい、日々フィードバックを返しています。

ここで大切にしているのは、単に

「ここを大きくする」
「この色に変える」

と修正方法だけを伝えることではありません。

なぜその修正が必要なのか、誰に何を伝えるためのデザインなのかを一緒に確認しながら、

「何を一番伝えたいのか」
「情報の優先順位はどうなっているか」
「なぜ、このレイアウトにするのか」

といった、デザインを判断するときの考え方まで伝えるようにしています。

答えそのものではなく、次の制作にも応用できる考え方を共有することを意識しています。

月に一度、会社を訪問する

チャットでの日々のやり取りに加えて、月に一度会社を訪問しています。

制作中のものを一緒に確認するだけでなく、これまでの仕事を振り返ったり、制作時に困っていることを聞いたりしながら、その時々で必要な内容を共有しています。

デザインのつくり方だけではなく、

依頼を受けたときに何を確認するのか。
どのような順番で制作を進めるのか。
どの段階で方向性を確認するのか。
デザインを見るときに、どこをチェックするのか。

といった、制作のフローや考え方、これまでの経験から得たナレッジについても伝えています。

一度にすべてを変えるのではなく、実際の制作を一緒に進めながら、少しずつできることを増やしていく形を取っています。

継続して関わるからこそ、できること

ビジョンマップの制作から始まった関係は、サンプル商品の制作、日々のデザインフィードバック、月1回の訪問と、少しずつ広がってきました。

継続して関わることで、会社が大切にしていることや、それぞれのスタッフが得意なこと、制作の中でつまずきやすいポイントなども少しずつ理解できるようになります。

だからこそ、毎回ゼロから説明してもらうのではなく、

「今、この会社に必要なデザインの支援は何だろう」

というところから一緒に考えることができます。

デザインを納品して終わるのではなく、企業の中にすでにある技術や人の力を生かしながら、必要なところに外部から加わる。

制作と育成、その両方から会社のクリエイティブを支えることも、私が大切にしているデザインの関わり方の一つです。